これまでは、研究2−2から研究2−5で得られた視線分析結果の数値的なデータを基に検討を行い、視線の向け方の特性を検討してきた。その結果、状況画に対する視線の向け方において、聴児群、聴障児群、ASD児群、ASD様の困難を併せ持つ聴覚障害児群の4群の障害種による差異として、各対象児群を状況画理解課題の正答群と誤答群の2群に分けた、計8群(1対象児群につき正誤の2群)で見た場合、聴児群と聴障児群では、その正答群は人物に対する停留時間が長い傾向がみられたが、ASD児正答群とASD様の困難を併せ持つ聴覚障害児正答群ではその傾向はみられなかった。ASD児群では、物に対して視線を向ける比率も高く、人に対して視線を向ける比率が高いという傾向は見られなくなった。以降は、典型的な視線パターンを取り上げた検討が必要である。
目的
本研究では、数値的な視線分析の結果より得られた知見を用いながら、実際に測定された視線の画像データの中から典型例を取り出して、その視線の運び方について実際の運動の様子と状況画の説明の側面からの考察を行う。