文部科学省委嘱
障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業

聴覚障害と軽度発達障害を併せ有する児童の評価及び評価に基づく指導

学習活動ダンボ 中間報告
学習活動ダンボ 最終報告


 
文部科学省委嘱
障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業

聴覚障害と軽度発達障害を併せ有する児童の
評価及び評価に基づく指導
学習活動ダンボ 中間報告

代表 濱崎久美子 NPO法人大塚クラブ理事長
M田豊彦 東京学芸大学
澤 隆史 東京学芸大学
伴 亨夫 東京都立大塚ろう学校長
近藤 徹 東京都立大塚ろう学校副校長
森藤 才 東京都立大塚ろう学校副校長
鈴木茂樹 東京都立中央ろう学校長
村野一臣 東京都立中央ろう学校副校長

(所属・肩書きは2006年当時のものです)

聴覚障害にいわゆる軽度発達障害を併せ持つ子どもは、実は以前より少なからず聾学校や難聴学級の中に在籍していたと思われますが、そのような視点からの取り組みは(少なくとも日本の中では)ほとんど無かったのではないでしょうか。それは、聴覚障害児教育が緻密な言語指導を通して、子どもたちを学年相応の学力まで引き上げることに大きな価値を置いてきたこととも関係していたのかもしれません。先人達の努力と成果は今日のわれわれの教育の中でも大きな財産となっており、学年相応の学力を目指すことは現在においてもいささかも色褪せてはいません。ただ今日的な特徴として、かつての時代に比べて、はるかに子どもたち自身がそして彼らを取り巻く環境自体が多様化しておりかつその変化のスピードがめまぐるしく速いということが挙げられます。その多様化に対応するためには、各学年の教育目標を目指すのみならず、これまで以上に個々の子どもたちの特徴や保護者の願いに応じた教育の徹底が必要だと考えています。その取り組みの一つとして軽度発達障害を併せ持つ聴覚障害児の指導も位置づけられるのだと思います。

聴覚障害があると、LDゆえに言語の獲得に困難をもっていても、「聞こえないんだから、言語獲得が遅れるのは当然だ」とか、多動性障害のために離席をたびたび繰り返しても、また、アスペルガーのために同年齢の集団にうまく参加できなくても、「聞こえないんだから、注意されても気づかないのは当たり前」、「コミュニケーションが取れないから集団に入れないのは当然」とみなされてしまい、軽度発達障害の問題が見落とされがちになってしまいます。我々が行った全国調査では、聾学校在籍児の約2 割に軽度発達障害の問題を併せ持っている子どもたちがいることが示唆されました。指定討論者の澤先生の示されたアメリカの先行研究の中でもほぼ同様の数字が示されており、いずれにしても聴児のそれより発生率が高いことが示唆されます。
特別支援教育が推進される中で軽度発達障害児の存在や特性については理解が進んできていますが、本調査で「軽度発達障害を併せ持つ聴覚障害児はいない」とした聾学校が23%もありました。まず、「その存在に気づくこと」が今日的な第一の課題なのかもしれません。そのための啓発活動や典型的な事例の報告なども今後のダンボの大事な使命と考えます。

聴覚障害児に特化した事ではありませんが、軽度発達障害の課題をもつ子どもたちを担当される学校の先生はある種の「指導のしづらさ(負担感)」を感じてらっしゃることが少なくありません。そのような状況で担当の子どもが軽度発達障害児であることが診断されると二つの気持ちが起きるといわれています。一つは「では、どのように指導すればいいのか?」というプレッシャーであり、もう一つは「指導がうまくいってなかったのは自分の指導のせいではなかった」という負担感からの解放です。現在、診断・評価を行う機関は増えてきていますし、その中で専門性の高いスペシャリストが育ってきています。しかし、まだスペシャリストの絶対数が少ないこともあって、個々に応じた具体の指導にまで介入できている例は非常に少ないという現状があります。その上聴覚障害の専門性をも有するとなると尚更です。負担感からの解放だけにとどまることなく、どのように指導をしていくと効果的なのかということにつなげていく教育実践こそが必要です。

研究中間報告書 (PDF 3.1MB)


 
文部科学省委嘱
障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業

聴覚障害と軽度発達障害を併せ有する児童の
評価及び評価に基づく指導
学習活動ダンボ 最終報告

代表 濱崎久美子 NPO法人大塚クラブ理事長
M田豊彦 東京学芸大学
澤 隆史 東京学芸大学
伴 亨夫 東京都立大塚ろう学校長
近藤 徹 東京都立大塚ろう学校副校長
森藤 才 東京都立大塚ろう学校副校長
鈴木茂樹 東京都立中央ろう学校長
村野一臣 東京都立中央ろう学校副校長

(所属・肩書きは2007年当時のものです)

事業の趣旨

近年、軽度発達障害についての種々の事柄が解明されるにつれて、それらを有する児童・生徒の存在も少しずつ認知されるようになってきた。また、軽度発達障害のある児童・生徒の大部分は、小・中学校の通常学級で教育を受けている。しかし、その実態については、学校の友達をはじめ関係する周囲の人々にはまだまだ正しく理解されていない状況にあり、本人及び家族は多くの困難に晒されているのが実状である。聴覚に障害のある児童・生徒にとっても、全く同様で、聴覚障害による情報不足やコミュニケーションの難しさが、さらに拍車をかけている状況にある。 そこで、NPO聴覚障害教育支援大塚クラブでは、ろう学校及び地域の教員養成系大学等と連携協力し、@軽度発達障害を疑われる児童等に評価を行い、A課題がある場合には、継続して指導を行い、Bそれらを保護者にフィードバックするなどして、正しい理解と協力を求めながら、事業を展開したいと考える。

研究最終報告書 (PDF 2.3MB)

 

 

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